不妊症と子宮内膜症② ~好発部位別治療方法&2つの原因~
子宮内膜症と診断された場合、どのような治療方法があるか。
についてお話しします。
①ピンクの部分
癒着などがない(少ない)、腹膜病変の場合。
子宮内膜症が増殖する原因の一つは「エストロゲン」と言われています。
この原因であるエストロゲンをなくせば、子宮内膜症の進行を遅らせる、又はとどめることができます。
体内に癒着がない場合は、薬物で体内のエストロゲンの量を調整する。
この保存療法が、一般的に多いと思います。
・低用量ピル
・ジェノゲスト
・低用量ダナゾール
・GnRHアナログ
これがエストロゲンを抑える、主なホルモン療法の種類です。
②グリーンの部分
ダグラス窩に病変が見られる場合。
この場合もピンクの腹膜病変同様、エストロゲンの量を調整する為に
薬を飲む保存療法を行う場合があります。
また病変の進行度によっては腹膜鏡下手術によって病巣を除去します。
③オレンジの部分
卵巣病変の場合。
卵巣病変は他の場所と違い、増殖した子宮内膜症様組織が月経の度に赤血球の滲出やうっ血が起こり、それが排出されないため卵巣が腫大します。
この腫大した状態を卵巣チョコレート嚢胞と言います。
この卵巣の病変に対しての治療方法ですが、
前の二つ同様、病変の進行を遅らせる為にエストロゲンの量を調節する薬物療法。
が、まず一つあげられます。
もう一つが腹腔鏡下手術ですが、チョコレート嚢胞に対しては摘出以外に嚢胞壁を焼灼するだけで治療効果があるものがあります。
卵巣は卵胞が育ち、排卵が行われる場所です。
病変の状態により保存療法でいくか、手術をするかの判断がとても大事になりますので、
ドクターとよく相談して決める事をおすすめします。
では、子宮内膜症の原因についてお話しします。
原因は未だに明らかにはされていませんが、2つの説があるので紹介したいと思います。
一つ目が
「子宮内膜移植説」
子宮内膜の組織が月経時、本来なら膣をつうじて外に出るのですが、
逆流する事で卵管を通り、腹腔へ行ってしまいます。
そのまま子宮内膜の組織が子宮以外の場所で存在し、エストロゲンに反応して増殖する。
という説。
上の図で言うと、①から③が本来のルートなのに、子宮から①の方に逆流してしまってると言う事です。
二つ目は、
腹膜や卵巣の表層にある中皮細胞が子宮内膜に類似した組織に化生し、
これが異変して子宮内膜症に至るという説。
腹腔や卵巣の中皮細胞は発生学的に子宮内膜に近いため、
何らかの原因によって中皮細胞は子宮内膜様の組織に化生しうる。
という説です。
どちらにせよ、まだ解明はされておりません。
これまでのことをまとめると、
●子宮内膜症とは
●子宮内膜症の好発部位と症状
●子宮内膜症の好発部位が不妊症に関わる理由
●子宮内膜症と治療方法1
●治療方法その2
●治療方法その3
●子宮内膜症の原因
です。
子宮内膜症の治療方法もご参考くださいね。
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師