不妊症と子宮筋腫
子宮筋腫とは、女性の約20%に発症するといわれている良性の腫瘍です。
症状が無い人もいますし、
月経痛や月経過多などの症状がある方もいるようです。
原因はわかっていませんが、
「エストロゲン」というステロイドホルモンにより増殖することがわかっています。
エストロゲンというホルモンは、女性の生理周期の中で分泌が多くなったり、少なくなったりを繰り返すホルモンの事です。
不妊症とはどのような関係があるのでしょうか?
それは筋腫の出来る場所や大きさが、大きく関係します。
下の図を見てください。
これは前にお話しました、子宮と卵巣の図です。
子宮筋腫はその名の通り、子宮に出来る良性腫瘍です。
下手な絵ですが、これを子宮の拡大とした場合、
1→ 粘膜下筋腫
2→ 筋層内筋腫
3→ 漿膜下筋腫
と筋腫が出来る場所によって、それぞれ疾患名が違います。
不妊症に関係するといわれているのは、主に①と②の筋腫です。
理由は「受精卵が最終的にどこにたどり着くか」という事に関係します。
以前もお話しましたが、
受精卵が最終的にたどり着く場所は子宮の内側(子宮内膜)です。
ということは、筋腫が上の写真のように1と2にあると、受精卵が子宮の内側に着床しずらいのがわかると思います。
ただ筋腫が1と2にあると絶対着床しないかというと、そんな事はありません。
筋腫が小さければ、着床する事も十分考えられます。
子宮筋腫の治療方法についてお話します。
子宮筋腫の治療方法は一つではありません。
お薬飲む、飲まない。
手術をする、しない。
それぞれ自分にあった方法を選択します。
今回は大きく3つに分けてお話します。
①対処療法
痛みがある場合は鎮痛剤を処方する。経過観察を行うが、すぐに手術などしない。
②薬物療法
ホルモン剤を投与して、病気の炎症や進行を抑える。
③手術療法
病巣を除去します。
病巣のみを取り出す保存手術と、子宮をすべて摘出する方法があります。
妊娠を希望する場合は、筋腫の大きさにもよりますが、
筋腫が小さい場合は、①で経過観察をしながら不妊治療を進めていく方法をよく聞きます。
筋腫が大きい場合は、③の手術療法で病巣のみ摘出後、経過観察を行いながら不妊治療をして行く方法があります。
まとめます。
子宮筋腫が妊娠に対して影響する理由は、
「着床障害」が主という事になります。
筋腫があるとお医者さんから言われた際は、
筋腫がどこにあるのか。また、どのくらいの大きさか。
この二点を把握する事が大事だと思います。
どんな筋腫でも手術でとってしまえばいいようにも思えますが、
開腹手術や腹腔鏡手術は、癒着のリスクも伴います。
(癒着とは、手術によってくっついて欲しくない組織同士がくっつく事です。腹腔鏡手術は開腹手術よりも癒着のリスクが少ないと言われてますが、ゼロではありません。)
癒着によって妊娠が難しくなる事もあるので、
誰でも手術をすればいいという訳ではありません。
筋腫の状態を把握した上で、
①対処療法
②薬物療法
③手術療法
のどれを選ぶか、
お医者さんと話し合ってくださいね。
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師