妊活のツボは、時期と身体のサインで変わります
良い卵子を育てる時期と、着床に向けて子宮を整える時期では、使うツボが変わります
妊活の鍼灸というと、
「妊娠しやすいツボがあるのですか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、妊活でよく使うツボはあります。
ただ、大事なのは、いつも同じツボを使えばよいわけではないということです。
妊活には、大きく分けていくつかの段階があります。
たとえば、良い卵子を育てている時期。
採卵に向けて卵胞を育てている時期です。
この時期は、卵子そのものだけを見るのではなく、卵巣への血流、ホルモンの働き、胃腸の状態、睡眠、冷え、疲労、ストレスなどを含めて考えます。
妊活の鍼灸では、東洋医学的に「腎」が大切と言われることがあります。
たしかに腎は、妊娠や生殖の力を考えるうえで重要な考え方です。
ただし、実際の身体はそれほど単純ではありません。
人によって、肝の働きが大事な方もいます。
脾、胃の働きが大事な方もいます。
任脈、督脈、衝脈といった流れを整えることが必要な方もいます。
血の巡りや、冷え、緊張、自律神経の乱れが強く出ている方もいます。
つまり、妊活に良いツボが最初から決まっているわけではありません。
その時期、その人の身体が発しているサインを見ながら、適切な経絡やツボを選んでいく必要があります。
そのサインは、問診だけではわかりきれません。
お腹、背中、腰、足、手首まわりなどを実際に触れて、硬さ、冷え、張り、沈み方、反応の出方を確認していきます。
手で触れることで、身体がどこに負担を抱えているのか、どこに反応が出ているのかが見えてきます。
鍼灸は、ただツボの名前を知っていればできるものではありません。
術者の手と患者さんの身体とのやり取りの中で、どのツボを使うべきか、どの刺激が必要かを判断していきます。
そこに、鍼師としての経験と実力が表れます。
ツボは、地図の上に最初から決まっている点ではなく、その時の身体が教えてくれる反応点でもあります。
一方で、着床に向けて子宮を整えている時期は、少し見方が変わります。
移植前後や排卵後は、子宮内膜、子宮の血流、自律神経の安定、冷え、炎症、緊張、胃腸の状態などを見ながら、受け入れるための子宮環境を整えることが大切になります。
この時期に必要なのは、ただ強く刺激することではありません。
身体を落ち着かせ、余計な緊張を抜き、子宮まわりの巡りを整えていくことです。
つまり、同じ妊活の鍼灸でも、
卵子を育てる時期の施術と、
着床に向けて子宮を整える時期の施術では、
目的が違います。
目的が違えば、使うツボも、刺激の入れ方も、生活で気をつけることも変わります。
ここを一緒にしてしまうと、
「妊活に良いツボを押しているのに、なぜか結果につながらない」
ということが起こりやすくなります。
妊活は、思ったよりも時間との勝負になることがあります。
「まだ大丈夫かな」
「もう少し自分で様子を見ようかな」
と思っているうちに、採卵周期、移植周期、生理周期は進んでいきます。
特に不妊治療を受けている方は、病院のスケジュールに合わせて身体も動いていきます。
採卵前、移植前、移植後、判定前では、それぞれ身体に必要な整え方が違います。
だからこそ、初めての方は、
「そろそろ鍼灸も考えた方がいいかな」
と思った時点で、早めに来ていただく意味があります。
一度触れさせていただくことで、その方の身体がどの方向に整える必要があるのかが見えてきます。
良い卵子を育てる時期なのか。
着床に向けて子宮を整える時期なのか。
採卵後の回復を助ける時期なのか。
移植後に身体を落ち着かせる時期なのか。
同じ妊活でも、時期が違えば身体のサインも変わります。
身体のサインが変われば、使う経絡もツボも変わります。
その違いを見極めながら施術することが、妊活の鍼灸ではとても大切です。
その時期に合わせて、施術の目的を変えていきます。
妊活の鍼灸は、ただツボを使うだけではありません。
今の身体が、妊娠に向けてどの段階にいるのかを見て、その時期に必要な整え方をすることが大切です。
「まだ早いかな」と思う時期こそ、身体づくりを始めるには良いタイミングです。
妊活を始めたばかりの方も、
採卵や移植を控えている方も、
一度、今の身体の状態を確認してみてください。
同じ妊活でも、必要なケアは時期によって変わります。
その違いを見ながら、あなたの今の周期に合わせた施術を行っていきます。
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師


