【不妊治療の鍵】2.「身体に取り入れるもの」を変える
赤ちゃんを宿す体を作り、よい卵子をつくるには、血液の質をよくすることだとお話してきました。
良質な血液は、体を治す力が強く、不調も起きにくく免疫の状態がよいので、妊娠しやすい健康な体になります。
コラム「不妊治療で費用や時間をムダにしない方法」でも述べましたが、ここでは、血液を作るための食事や、飲み物など・・・妊娠しやすい身体になるための食べ物について、さらに詳しく説明します。
目次
1.自分の体質を知っていますか?
1-1.マクロビオティックの基本は日本人が考えた「食養生」
1-2.陰と陽、あなたはどの体質?
1-3.「中庸」の体質とは?
1-4.妊娠のために中庸の体質を目指す理由とは?
2.妊娠しやすい良質な血液をつくろう
2-1.良質な血液とは?
2-2.ナトリウムとカリウムのちょうどいいバランスとは?
2-3.体質改善のカギは!?
3.バランスのよい食事で中庸の体質を目指そう
3-1.あなたの食事は陽性タイプ?陰性タイプ?
3-2.注意が必要な食材と、日常でとるべき食材とは?
3-3.中庸の身体で得られる改善変化4つ
3-4.旬の食材を取り入れて、体質を改善する
1.自分の体質を知っていますか?
当院がおすすめしているマクロビオティックでは、すべてのものに陰陽があると考えられています。それは、自分の体質についても同様です。
1-1.マクロビオティックの基本は日本人が考えた「食養生」
マクロビオティックというとみなさん、どんなイメージをお持ちでしょうか。
アメリカで人気、肉や魚を食べてはいけない・・・と、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、実はマクロビオティックは明治時代に日本人が考えた「食養生」がその起源です。
その後アメリカにわたってその健康効果が広まるようになりました。
従って、実はマクロビオティックでよいとされている食材は、玄米やみそなどの発酵食品、豆類、雑穀など、日本人が伝統的に食べてきた食材です。
これから伝える、陰陽の体質に合った食材も、マクロビオティックの考え方にもとづいています。
1-2.陰と陽、あなたはどの体質?
マクロビオティックでは、すべてのものに陰陽があると考えられています。
人間の体質についても同様です。
まず、自分自身の身体が陰陽のどこにあてはまるかを見ていきましょう。体質は大きく分けて5つになります。
あなたはどのタイプの体質か、セルフチェックしてみましょう。
1)陽性の肥大
陽性が肥大しているタイプです
体力があり、若いころはバイタリティがあって、妊娠しやすいでしょう。
ただ、暴飲暴食の傾向があるので、年をとるとともに心臓、肝臓、腎臓などに不調を抱え、妊娠しにくくなります。
2)陽性の委縮
陽性が委縮しているタイプです。
体は縮まっており、筋肉質。
元気はありますが、こだわりが強く、協調性がないガンコな性格です。
3)中 庸(ちゅうよう)
陰陽のバランスがとれた理想の健康体です。
体型は、ほどよく筋肉がついており、顔色も良好。
朝の目覚めはよく、食欲があり、多少のことでは疲れは感じません。気分も穏やかで安定しています。
いちばん、妊娠しやすい状態です。
4)陰性の肥大
陰性が肥大している人は、顔が青白い人です。
水分が多く、脂肪もたまっているので、体はぽっちゃりとし、ややむくんだ印象があります。食事は甘いものが好きでしょう。動作はゆったりしていて、性格は控えめ、やや消極的なタイプです。
5)陰性の委縮
陰性が委縮しているタイプは、陰陽どちらも不足している人です。
食べてもあまり栄養にならないので、体は細く元気がない印象。性格的にも無気力になりがちです。
拙著「赤ちゃんがやってくる 子宝レッスン」のP.63に「陰陽の体質と顔のタイプ」があります。陰陽の体質チェック以外にも「陰陽の顔タイプ」をセルフチェックがしやすいように、イラスト付きで紹介していますので、よろしければ参考になさってください。
1-3.「中庸」の体質とは?
◎ナトリウム過多=陽タイプ
食生活では、動物性たんぱく質の摂取が多かったり、塩分の多い食生活をしています。
◎カリウム過多=陰タイプ
野菜中心で動物性たんぱく質が少ない人です。
ナトリウムとカリウムのバランスをよくするということは、タイプ別でいうと「中庸」を目指すことになります。
体質が中庸になると、血液の質がよくなり、健康になります。
厳密には、中庸の身体でないと妊娠しにくいのか?というと、そうとも言い切れません。陽体質の人は、若いときはエネルギーがあふれていて元気なので、自然妊娠しやすいのです。
ではなぜ、中庸の体質を目指す必要があるのでしょう?
1-4.中庸の体質を目指す理由とは?
中庸の体質 = 西洋医学で想定されている平均的な人体像
と重なるのです。
つまり・・・中庸=平均的な身体になると・・・
1)西洋医学のいろんな薬が適切に効くようになる。
2)体外受精に必要なホルモン剤も医師のねらい通りの効果を上げるようになる。
不妊治療がスムーズに進むことになり、
「病院の治療に体を合わせる」ことにつながるのです。
2.妊娠しやすい良質な血液をつくろう
良質な血液は、体を治す力が強く、不調も起きにくく免疫の状態がよいので、妊娠しやすい健康な体になります。
食事のバランスをよくする上で、ナトリウムとカリウムの摂取バランスはとても重要です。
2-1.良質な血液とは?
良質な血液とはなんでしょう?
それは、ナトリウムとカリウムのバランスがとれた血液のことです。
◎ナトリウムをとりすぎると・・・
ナトリウムは、血圧を調整したり、栄養素の呼吸・輸送に関わっています。主に塩分や肉、魚などから摂取されます。、一般的には高血圧や胃がんになりやすいと言われています。
◎ナトリウムが不足すると・・・
運動で汗をかきすぎたりして、ナトリウムが不足すると疲労感やけいれんなどを起こす場合があります。
※ナトリウムは身体にとって大切な栄養素ですが、日常の食生活では過多になりがちで、不足することは、まずありません。この、過多になりがちなナトリウムの働きを調整するのが、カリウムです。
カリウムは細胞の中にあり、浸透圧を保つ働きがあります。
2-2.ナトリウムとカリウムのちょうどいいバランスとは?
身体の中のナトリウムとカリウムの働きについて、わかりやすくするために、人間の細胞をきゅうりにたとえましょう。
きゅうりは水分がいっぱいあって、みずみずしい状態です。これはきゅうりの中にカリウムがたくさんあって浸透圧が保たれているからです。
しかし、そのきゅうりの外側に、塩をまぶしたらどうでしょうか。ナトリウムによる浸透圧で、きゅうりの水分が溶け出し、きゅうりはしなびていきます。人間の場合、きゅうり(=細胞)から溶け出した水分(細胞外液)は血液中に流れ込みます。これが、高血圧の原因になるのです。
ナトリウム、カリウムはどちらも大切な栄養素ですが、しなびたきゅうりにならないためには、体の中でちょうどいいバランスを保つ必要があります。それが、
ナトリウム1:カリウム5
というバランスです。
◎血液中のナトリウム、カリウムのバランスが悪いと・・・
血液は悪くなり、免疫がバランスを失い、消化吸収機能は衰えます。
◎血液中のナトリウム、カリウムのバランスが良いと・・・
身体の中の老廃物の交換がすみやかになり、すべての組織の交換が早くなります。
細胞の入れ替わりがスムーズになり、病気になりそうな細胞も早く代謝されます。
ここまでわかっても、自分はナトリウムが多いのか、カリウムが多いのかわからない、と思われる人が多いでしょう。そのため、判断基準となるのが、マクロビオティックです。
マクロビオティックではこのナトリウムとカリウムのバランスを陰陽で見ることができます。
2-3.体質改善のカギは!?
食事の陰陽が、なぜナトリウムとカリウムに置き換えられるのかという疑問があるかもしれません。これは、マクロビオティックに基づいています。
マクロビオティックで食品を陰陽に分ける基準を考えたときに、
◎陽 性
- 地面の下に伸びるもの(根菜系)
- 集まるもの(固い野菜)
◎陰 性
- 地面の上にまっすぐ伸びるもの(野菜系)
- 広がるもの(葉物)
と、見立てていることと関係しています。
これがちょうど、ナトリウムやカリウムの多い食材と合致していたのです。
食事の陰陽を知るとこは、体質改善のカギですが、自分のタイプがよくわからない人もいるかもしれません。その場合、体調があまりよくない時や疲れている時のことを思い出しましょう。
ふだん食べないものを食べたくなったり、それを食べて調子がよくなるということがあるのではないでしょうか。それが、あなたの身体に足りていない食材です。体質を知る参考にしてください。
3.バランスのよい食事で中庸の体質を目指そう
具体的にどういったものを、どのようなバランスで食べていけば中庸の体質に近づけるのでしょうか。くわしく説明していきます。
3-1.あなたの食事は陽性タイプ?陰性タイプ?
下記の表は食材の陰陽がわかるものです。
前章 1-2.陰と陽、あなたはどの体質?でふれた、あなたの体質タイプに照らし合わせて見ていくことにしましょう。
≪ 食品の陰陽と食べ方の目安表 ≫
陽性が肥大しているタイプ
右上のエリアにある食材をとりすぎている人は、陽性が肥大しているタイプです。
肉が好きで、チーズやバターも好きという人が、体質を中庸に導くためには、左下の「身体を冷やす働き」のものを食べます。野菜ではきゅうりやピーマン、トマトなど、飲み物であれば、コーヒー、紅茶、緑茶、麦茶などはすべて身体を冷やす食材です。また、ビールも身体を冷やします。
(焼き肉を食べているとビールも飲みたくなる、というのは、体が無意識に陰陽のバランスを取ろうとしているということです)
陰性が肥大しているタイプ
フルーツやじゃがいもをよく食べ、牛乳やヨーグルトなどが好きという人です。
こういう人が中庸に身体を導くには、ひじきや昆布などの海藻類を食べたり、しょうゆや梅干しなどをとるのがいいでしょう。
3-2.注意が必要な食材と、日常でとるべき食材とは?
注意が必要な食材
≪ 食品の陰陽と食べ方の目安表 ≫で、いちばん外のエリアの食材をとりすぎている方は注意が必要です。
肉類や魚類、乳製品、牛乳、はちみつ、白砂糖などは、陰陽の気が特に強い食材になります。こういった食材は、反対側に体質が傾いている時に少量とれば薬のように効果を発揮して、体調をよくすることができます。
しかし、ふだんから外側の食材を採りすぎると、カリウム、ナトリウムのバランスが崩れてしまうのです。肉、魚、白砂糖、乳製品などは控えめにしましょう。
日常生活でとるべき食材
≪ 食品の陰陽と食べ方の目安表 ≫で、外側の線より中の食材は、日常生活でとるべきな食材です。
特に、中心部分に近い食材を見てみましょう。玄米、とうもろこし、そば、大麦、小麦、白米など、穀類が多いことがわかります。特に、玄米はそれだけで栄養素のバランスが完ぺきといわれている食材です。
食べにくければ、すべて玄米にする必要はありませんが、胚芽を部分的に残した「分づき」米などもあるので、上手に取り入れましょう。
3-3.中庸の身体で得られる改善変化4つ
食生活が改善され、体質が中庸になってくると、身体が見た目から変わってきます。
1)皮膚の色の変化
化粧ノリの悪さに悩んでいた人がいつの間にか、顔色がよく、つややかな顔になっています。
2) 舌の色の変化
舌に白いコケが生えている人は胃腸に不調がある人ですが、コケがなくなって明るいピンク色の下になります。また、舌にいつも歯のあとがついている人はむくんでいるのですが、むくみがなくなってすっきりした舌になります。
3)多汗症気味だった人も汗が止まる、という例もあります。
4)便秘の解消
もっともわかりやすい変化は便秘の解消でしょう。
便秘の人は、身体が鈍感になっています。下痢は体によくない物を摂取した時に、排出する作用があるのに対し、便秘にはこれといったメリットがありません。
便秘の人は、消化吸収が悪く、不妊治療に必要なホルモン薬の効きが悪かったりします。体外受精の場合は、それによって卵子がとりにくくなり、治療自体に影響するのです。
食生活の改善が、即治療の成功に結びつく可能性があります。
3-4.旬の食材を取り入れて、体質を改善する
陰陽の体質に合った食事と並び、体質改善に大切なのは、旬の食べ物を食べることです。
特に、高温多湿で四季の変化がはっきりしている日本において、食事と健康は強く関係しています。
これを「身土(しんど)不二(ぶじ)」と言います。「身土不二」とは、もともとマクロビオティックに由来した言葉です。
その土地でとれた旬の野菜を食べることは、体調を季節に合わせて整えることにつながります。
◎暑い時期=身体を冷やす野菜で熱をとる。
◎寒い時期=身体を温める根菜などを食べる。
また、自然の中で育った旬の野菜は、栄養が豊富です。味も濃く、力強く感じられます。そういった野菜から、ビタミン・ミネラルをとることと、サプリメントで効率的に栄養を補うことは、栄養素的にみれば同じように感じられますが、実際に旬の野菜を食べれば、体に与えてくれるパワーが、違ってきます。
4.まとめ
身体に取り入れる食事や飲み物などは、誰でもない自分自身が生活の中で改善するしかありません。
血液の質のカギを握るのは、ナトリウムとカリウムをバランスよく食事に取り入れることです。
そして、このナトリウムとカリウムをバランスよく食事に取り入れるのに、食事の陰陽を知るとこは、体質改善をするのに重要なことなのです。
食生活の改善が、すぐに不妊治療の成功に結びつくという可能性もあります。
ぜひ、自分の体質を知り、自分の身体に取り入れるものをもう一度見直す機会にしてほしいと思います。
拙著「赤ちゃんがやってくる 子宝レッスン」では、他にも「よい卵子をつくるためにやるべきこと5つ」や「妊娠の確率を上げるセルフケア」など、その他にも役立つ情報がたくさん掲載してあります。よろしければ、参考になさってください。
あなたのもとにかわいい赤ちゃんがやってくることを心から応援しています。
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師