ミトコンドリアは「細胞のエネルギー工場」ですが、不妊治療・妊活の分野では卵子の働きを支える重要な要素です

2025年12月30日

ミトコンドリアは「細胞のエネルギー工場」ですが、不妊治療・妊活の分野では卵子の働きを支える重要な要素として注目されています。前回の「身体を動かすこと」との関係も含め、卵子におけるミトコンドリアの役割をシンプルにまとめます。

1. 卵子は「ミトコンドリアが多い細胞」

卵子は、体の中でもミトコンドリアが多い細胞と言われます。

一般的な細胞が数百〜数千個なのに対し、卵子は約10万〜数十万個とされることもあります。

これは、受精後の細胞分裂などに大きなエネルギー(ATP)が必要になるためです。

2. 「卵子の質」とエネルギー(ATP)

卵子の働きが安定するには、十分なエネルギーが欠かせません。

ミトコンドリアの機能が落ちてエネルギー不足になると、卵子の成熟や受精後の分裂過程がスムーズに進みにくくなる可能性があります。

また、細胞分裂では染色体を正しく分ける工程にもエネルギーが必要で、ここが乱れると、染色体のトラブルにつながりやすいとも考えられています。

3. 加齢と「サビ(活性酸素)」の影響

年齢とともに卵子の質が変化すると言われる背景には、ミトコンドリアが活性酸素(いわゆるサビ)の影響を受けやすくなることが挙げられます。

発電効率が落ちるとエネルギー不足になりやすく、修復や回復に関わる力も弱まりやすい、と考えられています。

4. 身体を動かすことがつながる理由

ここで「身体を動かすこと」とのつながりが出てきます。

ウォーキングなどの適度な運動や、鍼灸などで血流を整えることは、卵巣へ酸素と栄養を届ける助けになり、ミトコンドリアが働きやすい環境づくりにつながる可能性があります。

  • 新しいミトコンドリアを作る方向:身体を動かす刺激が「エネルギーが必要」という信号になりやすい

  • 血流のサポート:酸素が届きやすい状態は、エネルギー産生の土台になります

まとめ

卵子は、新しい命を育てるための「エネルギーを使う細胞」です。

その土台を支えるミトコンドリアを、生活(睡眠・食事・適度な運動・冷え対策)で働きやすい状態に整えることが、妊活の一つの考え方になります。

当院では、鍼灸を「結果の代わり」にするのではなく、冷えや緊張を和らげ、睡眠や胃腸が働きやすい状態を作る“補助”として位置づけています。

※本内容は一般的な情報で、結果を保証するものではありません。治療方針は主治医の指示を優先してください。

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