明けましておめでとうございます。ここでしかできない治療――24年の臨床でたどり着いたもの

2026年1月1日

明けましておめでとうございます。ここでしかできない治療――24年の臨床でたどり着いたもの

セキムラ鍼灸院は2003年に開業し、今年で24年になります。

開業当時の私は33歳。現在は55歳です。資格を取ったのが26歳なので、治療に携わってからは30年になります。

振り返ってみると、この四半世紀は「同じことを繰り返してきた」というより、むしろ逆でした。

治療家としての核は持ちながらも、毎年どこかに“更新”があり、今もその途中にいる感覚があります。


目に見えないものを、どうやって確かめるのか

鍼灸には、経絡(けいらく)という考え方があります。

よく「気の流れ」と言われますが、これは目に見えず、説明も難しい。だからこそ、誤解されやすい領域でもあります。

それでも私は、開業前からずっと考えていました。

「どうしたら、経絡を“それらしく語る”のではなく、実際に探り当てられるのか」

「再現性のある形で確かめられるのか」

その答えを求めて、さまざまな先生方の研修を受けました。

言葉では説明しにくい世界を、感覚と技術で伝えてくれる“仙人のような先生”もいました。

そして開業後、たくさんの患者さんを診る中で、ある時ふっと

「これかもしれない」と思える瞬間に出会いました。


技は、没頭の先にある「偶然」と「試行錯誤」から生まれる

どんな世界でも共通していると思いますが、上達には必ず流れがあります。

  1. 真剣に、あるテーマだけに没頭する

  2. その過程で、ヒントや偶然に出会う

  3. それを手がかりに、何度も試して確かめる

  4. できることが増え、見える世界が変わる

  5. また次の課題が見つかる

この繰り返しをしているうちに、気がつけば四半世紀が過ぎていました。

「もう十分だ」と思う時期もありました。

でも新しい出会いや学びがあると、どうしても試したくなる。

そして試して、手応えがあると、また目標が増える。

患者さんが少しでも早く、少しでも楽になる。

そのための工夫が見つかると、こちらも嬉しくなってしまう。

そんなサイクルが、自然にできあがっていました。


触れると分かる「場所によって違う感触」

「気」と言うと、少し奇妙に聞こえるかもしれません。

信じてもらえるとは思っていませんし、信じる必要もないと思っています。

ただ、ひとつだけ、誰でも体験できることがあります。

たとえば、ご家族の体に触れた時、場所によって

硬さ、温度、張り、弾力、触った時の“反応”が違うことに気づくと思います。

同じ背中でも、右と左で感触が違う。

同じ腰でも、触ると「ここだけ違和感がある」。

こういうことは珍しくありません。

鍼を当てると、その違いがさらに分かりやすくなることがあります。

私にとって経絡やツボは、まさにそうした「違い」が体表に現れたものを、

指先の感覚で探っていく作業でもあります。


古代から続く「指の医学」

古代中国では、医療機器がありませんでした。

それでも人は、体の違和感を観察し、触れ、積み重ね、体系化し、書物に残してきました。

その知恵が長い時間をかけて磨かれ、世界に伝わってきたのが、東洋医学の土台です。

ただし、ここが東洋医学の難しさでもあります。

同じ理論を学んでも、

指先の精度や感覚の差で、結果に差が出やすい。

言い換えると、誰がやっても同じ結果になりにくい。

その“属人性”が、漢方や鍼灸が広く普及しにくい理由のひとつだと私は感じています。


漢方の難しさと、鍼灸の強み

漢方薬もまた、非常に奥が深い世界です。

薬草だけでなく、鉱物や動物由来の生薬が使われることもあります。

さらにややこしいのは、同じ処方でも

  • 生薬の品質が違う

  • 産地が違う

  • 収穫時期や加工が違う

といった理由で、効き方が変わることがある点です。

処方する側も、本当に難儀だと思います。

その点で鍼灸は、少なくとも「材料の品質」ではなく、

術者の技術で結果が決まりやすいという強みがあります。

もちろんそれは、術者に責任が重く乗るということでもありますが、

経験が積み上がれば、狙った反応を出しやすくなる側面があります。


言葉にしにくい経験が、治療家を育てる

東洋医学には、一般論だけでは語れない領域があります。

  • 指先の感覚が育つ

  • 患者さんの状態が“手の中で分かる”瞬間が増える

  • 体表のどこに違和感が出ているかが、線のように繋がって感じられる

これは文章で完全に再現できません。

だからこそ、面白いとも言えます。

そして、こうした積み重ねの先に、

「このやり方なら、より早く楽にできる」

という技が少しずつ育っていきます。


ここでしかできない治療、という意味

「ここでしかできない治療」と言うと、少し大げさに聞こえるかもしれません。

でも私は、特別な何かを誇りたいわけではありません。

30年の臨床経験の中で、

目に見えないものを、触れて確かめ、試して積み上げてきたものがある。

その意味で、当院の治療には当院ならではの積み重ねがあります。

もしあなたが、

「どこへ行っても同じ説明で終わってしまう」

「体のことを、もう少し丁寧に見てほしい」

そう感じているなら、一度ご相談ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この妊活コラムの執筆者

AboutSekimura鍼灸院について

Sekimura鍼灸院

〒160-0023

東京都新宿区西新宿7丁目19−5 KYS西新宿6F

アクセス・地図

Tel:03-6908-5093

※施術中で電話に出られない場合が多いため、
 お問合せフォームからご連絡ください。

診療時間
[休診日] 日曜日、祝日
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
9:30~20:30 9:30~20:30 9:30~20:00 9:30~20:30 9:30~20:30 9:30~19:00 休診日
ページの先頭へ