気の治療と鍼の力
「邪気を感じる手」と経絡の不思議
人の身体に触れることで、気の滞りを感じ取ることができる。これは古代中国の医療技術に根ざした考え方で、病気の進行や治癒、身体の維持を「気」の流れで説明するものです。その体系化には、「経絡敏感人」と呼ばれる、特に気の感覚に優れた人々への実験が重ねられました。
現代でも、経絡敏感人は稀ながら存在します。私の経験では、極めて敏感な方は250人に1人程度、そこまでではないものの敏感な方は数人に1人見られます。幸い、私はそうした方々と完全に同じ感覚を共有でき、その方の不調部位が、まるで自分の身体に移ったかのように感じられることが多いです。仕組みは解明できていませんが、人体の持つ不思議な機能の一つだと考えています。
気の治療と鍼の力
この感覚は、治療において大きな助けとなります。例えば、手の甲や前腕への鍼一本で寝違えを瞬時に治すことも可能です。これは、気の流れを調整することで症状を改善する、東洋医学の考え方に基づいています。
気は見えるのか?「道」と「学」の違い
「気」そのものは目に見えませんし、存在を証明できませんが、気の流れを可視化するような経験もしました。私が師事していた先生は、鍼治療の際、経絡に沿って二つのツボを繋げると、患者役の同級生の足に、白い線が浮かび上がるり、気の流れを目に見える形で示されたのです。
ここで、「道」と「学」の違いについて考えてみましょう。
「道」(茶道、柔道、華道、剣道など)は、実践を通して真理を体得するものです。型はありますが、重要なのは「その人の個性がどれだけ見る人、参加する人に影響を与えるか?」です。だからこそ、師を超える者や、型破りな革新者が生まれます。華道家の仮屋崎省吾さんのような方が、その良い例かもしれません。
一方、「学」(医学、経済学など)は、頭で知識を学ぶものです。知識は発展していきますが、感覚は学ぶことができません。「道」は、伝えられる人にしか伝えられない、ある種の神秘性を持っています。
しかし、「学」を極め、深く探求していくことで、自然と一体になる感覚を得ることもあります。現代の生命科学が東洋医学に注目しているのは、そのためかもしれません。ただ、そこまで深く探求する人は多くありませんが…。
まとめ
気の感覚は、経験と、もしかしたら「持って生まれた能力」も関係しているかもしれません。しかし、重要なのは、その感覚を活かし、実践を通して治療に役立てることです。私は、自身の経験と、実際に目にしてきたことを通して、自信を持って治療に取り組んでいます。
(現在、治療時間の関係上、卵巣子宮、脳下垂体の治療に専念させていただいております。他の症状については、事前にご相談いただければ対応可能な場合もございますので、ご了承ください。)
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師