「10回目の正直でした」――40代の妊活で、私が大事にしていること
「10回目の正直でした」――40代の妊活で、私が大事にしていること
妊活の現場にいると、ときどき胸をつかまれる言葉に出会います。
今回の方の一言も、まさにそうでした。
「10回目の正直でした笑」
笑いながら書かれているけれど、その裏には、9回分の採卵があります。
「これが最後だなー」と思っていた気持ちもある。
そして40代という、時間の重みもある。
軽く書かれているからこそ、むしろ本気が伝わってきました。
患者さんの声(引用)
(掲載許可済)
通うまでに9回体外受精のために採卵したのですが、通いだしてから授かった受精卵で妊娠したので感謝しております。
10回目の正直でした笑
これが最後だなーと思っていたので通って本当に良かったです。40代だし。
移植前2か月くらい週1で通っていたのも良かったと思います。
私が通っていた病院のすぐ近くだったので、家からは1時間くらいかかるのですが思ったより通いやすかったです。
今は無事に安定期に入りました。本当にありがとうございます!!
(中略)
通って2か月くらいでとれた受精卵が今までで一番キレイな卵でそれで妊娠したので良かったのだと思います。
あと自分の体質があまり分かっていなかったので、何を食べたらとか何をしたらいいというのがいまいち分かっていなかったのですが、それが分かってどのようにくらせばいいか分かったのが助かりました。体感で実感はあまり分からなかったです笑
あ、施術後、体は楽でしたよ♪
(中略)
悩んでいるなら始めたほうが後悔しないと思います。やってみて特に変化がないならやめればいいのです。
…そんな感じで気軽にやってみたらいいと思います。楽になるし。
40代の妊活は「がんばり方」を変えると前に進みやすい
40代の妊活で、私がいつも意識するのは、
「気合いで押し切る」よりも、体が受け取りやすい状態を作ることです。
採卵・移植の戦略や判断は、主治医の先生が中心になります。
鍼灸側ができるのは、その医療を支える“土台づくり”です。
たとえば、
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冷えが強い
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睡眠が浅い
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胃腸が弱い(食べても吸収が追いつかない)
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緊張が抜けず呼吸が浅い
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体が常に頑張り続けている
こういう状態だと、治療を重ねるほど消耗が増えやすい。
だから、同じ「通う」でも、ただ回数を増やすのではなく、整う方向を作ることが大切になります。
「週1で2ヶ月」が意味を持つことがある
この方は、
移植前2か月くらい週1で通っていたのも良かったと思います。
と書いてくれています。
私の感覚では、週1で2ヶ月というのは、体にとって「変化が積み上がる」現実的な期間です。
もちろん個人差はありますが、妊活は“短期勝負”に見えて、実は 積み上げの勝負でもあります。
特に移植前の時期は、
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睡眠
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体の緊張
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冷え
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胃腸
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その人の生活リズム
こうした要素を整えやすいタイミングでもあります。
「体感が分からない」人ほど、実は真面目に整っていることがある
この方の正直さが伝わるのが、ここです。
体感で実感はあまり分からなかったです笑
あ、施術後、体は楽でしたよ♪
妊活は、体の変化が“派手”に出ないことが多いです。
だから、実感が薄くて不安になるのも自然です。
ただ、体感が薄い=意味がない、ではありません。
むしろ「自分の変化に気づきにくい」人は多い。
だから私は、施術だけではなく、生活の中で何を選ぶか(食事・休み方・温め方など)を一緒に整理します。
この方も、
何を食べたらとか何をしたらいいというのがいまいち分かっていなかった…それが分かってどのようにくらせばいいか分かったのが助かりました。
と書いてくれています。
ここが、治療の“芯”だと私は思っています。
鍼がすごい、という話だけではなく、その人が日常で迷わなくなることが大きい。
「専門の場所に通う」価値は、技術だけじゃなく“整理”にある
通う前は友人に鍼をやってもらっていた、という話もありました。
鍼そのものが悪いわけではありません。
ただ、妊活は、一般的な鍼の知識だけでは整理しきれない要素が増えます。
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検査や薬の流れ
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採卵・移植のスケジュール
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その時期に負担が増えるポイント
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何を優先し、何を減らすか
専門的に整理できる人がいると、迷いが減ります。
迷いが減ると、体も整いやすい。私はこれは本当にあると思っています。
「気軽にやってみたらいい」という言葉の強さ
最後のアドバイスが、私はとても好きです。
悩んでいるなら始めたほうが後悔しないと思います。やってみて特に変化がないならやめればいい。
妊活は、悩みが増えるほど動けなくなります。
「やるか、やらないか」を悩み続けるより、
試して、合うかどうかを体で判断するというのは、実はとても合理的です。
もちろん、無理はしなくていい。
負担になるなら、やり方を変えればいい。頻度も下げればいい。
その調整も含めて、私たちの役目だと思っています。
大事なこと(必ず)
この方の経過は一例で、結果を保証するものではありません。
妊活治療は主治医の方針が中心で、鍼灸はその補助として位置づけています。
それでも、「体を整えること」に価値を感じる方は少なくありません。
もしあなたが今、
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次の一手が分からない
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体がいつも緊張している
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何を食べて、どう過ごせばいいか迷っている
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治療が長くなって消耗している
そんな状態なら、まずは一度、体の土台から一緒に整理してみてください。
初回はこう進めます
初回は、いきなり強い刺激を入れるのではなく、
今の治療状況(採卵・移植の予定)と体の状態(冷え・睡眠・胃腸・緊張)を確認します。
そのうえで、体の反応を見ながら刺激量を調整し、家で無理なく続けられることも一緒に決めます。
初回の流れ・ご予約はこちら:
https://sekimura-sinkyu.com/first-appointment
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師

