そこに刻まれた「誰かの時間」の積み重ねです
開業して、気づけば二十三年が経ちました。
その年月は、数字よりも、
そこに刻まれた「誰かの時間」の積み重ねです。
痛みの奥に沈む沈黙、
結果に揺れるこころ、
出口の見えない夜。
そのすべてと寄り添いながら、
私は“人が生きようとする力”を何度も見てきました。
鍼を打つことは、身体に触れる行為ですが、
同時に「その人の物語に触れること」でもあります。
言葉にならない願い、
胸の奥でずっと誰にも言えなかった想い。
それらがふっと表情に現れる瞬間、
私はいつも、人の命の深さに圧倒されます。
治した人数より、寄り添った時間の重さを覚えている——
これは嘘偽りのない実感です。
人は言葉で傷つくけれど、
人は言葉で生き返る。
私は、その“生き返る瞬間”を、何度も見届けてきました。
不妊という道の途中で、
自分を責めてしまう方が少しでも、
「まだ、大丈夫かもしれない」
そう思えるように。
鍼とことばで、
身体と心がもう一度呼吸を取り戻すお手伝いができたら——
それが、私のこれからの役目だと感じています。
これからも、
あなたの時間と一緒に、
この妊活コラムの執筆者
関村 順一SEKIMURA JUNICHI
院長 鍼・灸・あマ指師


