お勧め本「無双原理易・桜沢如一」

2013年10月2日

お勧め本です。

 

経絡人を探し教えを乞うように、自分の感覚を研ぎ澄ましてきましたが、不妊治療も卵子の細胞のところまで来て、陰陽から易にまで辿り着こうとしています。原理原則の話は東洋哲学に言い表されており、医学であろうと宇宙であろうと素粒子であろうと、理解できるには時間がかかります。理解できるのかなあ。
先人のありがたい知恵を読み込み、体に染み込ませ、手に表現したいと思っています。

 

この本はマクロビオティック本です。

 

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二十年あまり前に、私は石塚左玄の遺業である生化学によって生命を救われた。それから、それを実行しながら、その原理を究めてゆくうちに、いつの間にか、それによって、
内体ばかりでなく、精神をも救われたのである。つまり、自分の一生を送る方向を定められたのである。自分一生の意義とか、生き甲斐とかいうようなものを見つけたのである。
左玄の建設したものは、一つの生化学であった。
生化学的生理学であった。
それは、人間の生命の神秘な原理の発見であった。彼が、明治の中ば―今から半世紀前に博文館から発行した。
著作は、『化学的食養長寿論』という表題をもっていたが、それは、古来東洋独特の長寿論に、近代西洋独創の科学を結びつけた、全く未曽有の試みであった。つまり、生命を中心とした、あらゆる新しい科学の綜合であり、統一である人間生理学を樹立したものであった。
それは、健全な肉体生活を営む秘訣であるから、健全な精神生活を織り出す秘訣でもあり、体力を養成する原理であるから、精神力を生かす原理でもある。
というと、いささか唯物論者のように思われて、或る人々にいやがられるかも知れないけれど、その辺の批判は、ひと通り私の説く左玄の生化学を理解されてから下して頂きたいと思う。

 

左玄の生化学は、ナトリウム塩類とカリウム塩類の相対性、対抗性の上に建設されている。すなわち、化学記号を用いると、NaとKのアンタゴニズムの中に生命の神秘を読み取って説いている。私は、それを深く究めてゆく間に、この全般的な相剋現象に、単にナトリウム、カリウムという化学元素の名を冠らせることが余りに融通が利かないように思えるので、陽および陰という広い自由な名称に取り替えた。

 

これは、私が長い間、左玄の生化学の応用である治療法を研究し、経験している間に、若い西洋医学の術なさから、古色蒼然たる東洋の医学に移って行き、ついに漢方に深入りし、その原理、易に到達したためである。

 

漢方では、全ての病気や薬品を、陰陽という二つの種類に分けてあるが、その陰、その陽なる語の意味が、どんな本を読んでもハッキリ分らない。
そこで、漢方の指導原理たる『易』の研究に移らねばならなくなり、手に入る限り、易に関する古今和漢の著書を渉ってみたが、陰陽を科学的に説明したものは一冊も手に入らなかった。まれに、『万物感応』などいう物理化学的なものも、ないではなかったが、それはただ、古人の経験した不思議な現象の記録にしか過ぎないものであった。
しかも、
『易は広く大いなること限りなく 備わらぎるものあることなし」
など、易経には云ってある。
私は探しまわった。克明に易経の中を何回も何回も隅から隅まで探しまわった。しかし、いわゆる本経の中には何もない。最後に私は、わずかに易経十翼の中の一、二章に、漠然たる科学的な陰陽の説明を発見した。

それから、老子の道徳経「老子」の中にも、陰陽無双原理の片鱗を、ところどころに見出した。かくして得た陰陽原理の断片を、寄せ木細工のように私は組み立てながら、それを左玄の生化学たるナトロン塩、カリ塩の対抗性原理に導入してみた。

また、この対抗性原理を陰陽原理に入れ替えてみた。そのうちに、私はNa ・K対抗原理と陰陽原理の同一性を発見してしまったのである。
陰陽で説明してある事情で不可解なことは、Na ・Kで解いてみるとスラスラ解ける。全ての生化学的現象のNa・K原理による説明の中でNa ・Kを陰陽に置き替えてみると、普通算術で複雑な問題を高等数学で簡単にするような便利がある。

 

また、化学以外の分野で、たとえば物理学のような純粋科学は申すにおよばず、あらゆる自然科学から複雑な精神科学に至るまで、陰陽という代数xとyを使用して吟味してみると、およそ最も不可解、最も困難に思ったような問題がスラスラ造作もなく解ける。

難・きを易きの間に図り、大いなるものを小さきものの中に為す(『老子』第六十三章)

というような言葉が、ここで初めて身にしみて味わわれる。
また、繋辞伝(『易経」十翼)のこの言葉,

知るに易く用いるに最も簡単でありながら、しかも森羅万象あらゆる現象を解説する根本無双原理!
『乾以易知、坤以簡能』〔乾は易を以て知り、坤は簡を以て能くす〕『易簡而天下之理得夫』〔易簡にして天下の理得〕という言葉もうなずかれる。
つまり、易は、複雑きわまりなき生命の諸問題の代数なのである。人生の、宇宙のあらゆる問題の解答を簡易に導き出す簡単きわまる計算尺――その目盛りは、ただ二つ、陰と陽――なのでる。

 

こういう不思議な計算尺を手に入れると、その魔がさして、人はその面白さに時のたつのを忘れてしまう。明けても暮れても、人はその計算尺をもてあそぷ。それは、不思議な天眼鏡のようなものである。人は、それを手に入れたが最後、あらゆるもの、あらゆる世界、世すなわちあらゆる時間と、界すなわちあらゆる空間の織り出す、限りのない現象を一つ一つ仔細にのぞきまわして喜ぶようになる。

 

私は、この不思議な天眼鏡計算尺で、まず人間の悩みたる『病』の世界を隅から隅までのぞきまわしてみた。そして、あらゆる『病』の秘密を看破してしまうと、生理学、生物学のような応用科学の世界から、物理、化学のような純粋科学の世界、さては経済、 政治、 歴史、 芸術、 文学、社会学、美学のような非自然科学の世界まで一つ一つ眺めまわしてみた。そして、人生と宇宙のパノラミックな眺めをほしいままにして喜んだのである。つまり、物質の世界と、精神の世界をグルッとハイキングしてみたのである。
その結果、もうこの天眼鏡計算尺が面白くて手放せなくなってしまった。私は完全に、この陰陽原理の魔法に囚われの身となったのである。私の一生はもう(肉体的にも精神的にも)、 この魔法の奴隷になってしまったのである。
温帯人は、寒熱両病とも知っているので、カリウム塩剤、ナトリウム塩剤をも使用し、いずれかと云えば、前者を賞用する傾きがある。熱帯人にいたっては、ナトリウム塩剤は、ほとんど不用であって、彼らは、はなはだ有効な陰性療法をたくさんもっている。たとえば、キニーネ、あるいは、インド人独特の精神的療法、瞑想、断食、潟血、冷水浴、ガンジーの、いわゆる水一薬主義のごとし。
この陰陽差の方面を進めると、はなはだ思いもかけない発見がある。

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